市立病院・自治体経営について
2001年、16診療科354床の高度設備を備えた新しい留萌市立病院が限りない希望とともに始まったとき、その数年後に危機的状況が訪れることを誰が予想できたでしょうか?その危機は2004年に始まった新臨床研修制度この「悪法」を説明する厚労省のページへによってもたらされました。まず、研修医たちが引き上げ、その早くも2年後には人手不足からの過労により疲弊した中堅医師たちが病院を立ち去りました。これにより、2004年10.5億円であった病院の不良債務は3年後の2007年には27.5億円(うち医師不足による赤字は13.8億円)へ、爆発的に増加することになります(1)「広報るもい」08年9月号:右クリックにてpdf保存。こうした目前の急激な医療崩壊に対しては、行政関係者の最大限の努力にもかかわらず、有効な手を打つことができないのも当然でした(2)「広報るもい」07年2月号:右クリックにてpdf保存。また、院長が医師を再び集めるために奔走しても(3)「広報るもい」07年5月号:右クリックにてpdf保存、医師の確保は極めて困難でした。医師不足は一方で、市民の目からはサービスの低下としてとらえられ(4)「広報るもい」08年9月号:右クリックにてpdf保存、ますます患者離れが進み、病床稼働率の低下・赤字の増大に結びついたのです。これは、病院の医師を地域に供給するシステム自体が変化したということによる必然であり、他の自治体病院でも多かれ少なかれ同じことが起こっていることが明らかになっています。その典型は銚子市立総合病院です。医師の待遇改善に消極的であったため、3年間という短い期間になだれを打つように医師が流出し、崩壊しました(5)08年銚子市広報:右クリックにてpdf保存。
市民参加による医療再生へ
このように、これまでの医療システムが崩壊した後には、病院経営者たちだけの努力で元に戻すことはもはや不可能であり、市立病院の存続の最大のステークホルダー(利害関係者)である市民が自らの手で根本から医療を作り直すことが求められているといっていいでしょう。留萌コホートピアは、市民の手で医学研究を誘致し、そこに若い医師を育成する環境を作って、あらゆる世代の医師にとって魅力的な環境を創ることで、それが達成できると考えています。このような「市民参加による医療再生」は決して空想の産物ではなく、千葉県東金市皮肉なことに銚子市から50km程しか離れていない街ですの「わかしおネットワーク参考図書「地域医療を守れ」を参照」にその実際の成功例があります。これは、市民による医療再生を支援するためのプロジェクトといえましょう。同じことは、留萌の産業の振興についてもいえます。日本全体の資源配分状況や留萌の産業構造が変化した現在、それを再生させるのは、以前のような「お上から」降ってくる公共工事ではなく、市民自身の努力による新たな産業の創造です。留萌コホートピアは、医療産業がそのカギだと考えています。
地域経済活性化とコホートピア
留萌コホートピア構想では医療を中心とする新たな産業の創出と誘致により地域の経済の活性化をめざしています。また、間接的、直接的に地域の一次産品や工業製品などのブランドアップのための活動をおこなっていきます。その際、重要なことは、市民が自らの手で、地域おこしを進めていくという「参加」です。北海道の食品メーカーは弱小企業が多く、マーケティングに弱いのが特徴です。これは留萌においてもあてはまります。地元の中小企業と農家・漁業者の利益を護るため、市民参加のコホートによる有効性の検証のみでなく、地域団体商標などのブランド創り、地元企業の利益確保までと包括的に支援する必要があります。コホートピアはそうした産学官連携による実効的な育成の仕組みを起動したいと考えています。起動された後、それを動かしていくのは参加する市民のみなさんの力なのです。すなわち市民参加コホート研究に基づく地域ブランド・産業の強化を目指します。
コホートピアにおける人材育成
コホートピアでは新たな雇用を創出していくことを目指していますが、医療スタッフ以外の雇用は、地域の人材を活用することを原則としています。地域に必要な人材がいなかったり、いても能力が不十分な場合には、安易に地域外からの雇用をせず、積極的に人材育成の努力を行っていきます。地域の人材こそが、地域の明日の活力を生み出す最大の財産であるからです。
障害者雇用促進について
コホートピアでは障害者に優先的に雇用の機会を提供することに心がけます。地域障害者就労支援事業や職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援事業を活用し、能力の開発・育成から自立的就労への道を拓きます。