2009.3.24 留萌新聞|NPO法人るもいコホートピア6月めどに法人登記へ 4月上旬に設立総会
るもいコホートピア推進機構(委員長・小海康夫札幌医科大学教授)は、地域でのコホート研究の普及・推進にあたるNPO法人るもいコホートピア(仮称)の設立準備を進めている。3月上旬には、同推進機構のメンバーが定款や申請書などの詳細について打ち合わせを行っており、4月中に道に関係書類を提出、認証手続きに入る。同推進機構事務局では、順調にいけば6月にはNPO法人の認証を取得、法人登記ができる−としており、4月上旬にも法人の設立総会を開く予定だ。コホートとは英語で「集団」を意味する医学用語。コホート研究は、一定集団を対象に定期的な診断を継続、観察や指導を続けることで脳卒中や認知症、生活習慣病などの発症原因や予防策を突き止めるもの。医学研究を留萌に誘致して理想的な医療環境を構築、健康長寿地域を創出しよう—というのが留萌コホートピア構想で、名称はコホートにユートピア(理想郷)を掛け合わせている。NPO法人るもいコホートピア(仮称)は、事業推進の実動部隊としてコホート研究の基盤を整備し、臨床研究を誘致することで保健・医療・福祉、産業振興で広く公益の増進に寄与することを目的に設置。具体的には①構想の実践に向けた市民との接点づくり、②住民同意に基づく健康状態の長期観察、健康情報の保存などの医学研究、③7月に開設予定の「るもい健康の駅」(仮称)を活用した各種健康事業の企画、実施—などを行う予定だ。3月に入り、小海委員長をはじめコホートピア推進機構のメンバーが、法人の定款や申請書類の内容などについて道の担当者と打ち合わせをしたほか、同推進機構内部で申請に向けた文言の修正などの作業が進められている。4月上旬にもNPO法人の設立総会を開き、定款や推進事業などの決定を経て関係書類を道に提出、法人格認証の手続きに入る。順調にいけば、2カ月間の関係書類の縦覧期間終了後に法人として認証される見込みで、6月末までには法人登記を終了し正式なNPO法人となる。同推進機構事務局は、「実施事業については、4月に市保健福祉部に設置されるコホートピア推進室とタイアップし、市の考えに沿った形で円滑に進められるよう調整を図りたい」としている。
2009.3.6 留萌新聞|高橋市長の市政執行方針③ るもい健康の駅を整備
第二の柱は、「思いやりのコミュニティで、安心して健康に暮らせる」まちづくりについてであります。保健事業につきましては、市民一人ひとりが健康で生きがいをもって暮らすことができるよう、「健康寿命の延伸」に重点を置き、予防対策などの施策を展開し、市民の健康維持と増進を図ってまいります。特に、特定健診は自らの健康をチェックし、自らの健康を守っていくためにも大変重要なことであります。本年度は、道内の医育大学と国立保健医療科学院などの協力や北海道からの支援をいただきながら、市民の健康と安心、産業の創出に繋げる道内ではじめての「るもいコホートピア構想」がスタートすることから、地域の「健康いきいきサポーター」とともに、市民が健康意識を高め、健診を受け、健康づくりを実践することができるよう、市としても積極的に取り組むこととし、市民が気軽に立ち寄り、自分の健康情報をチェックしながら健康づくりを楽しめる施設として、「るもい健康の駅」を整備し、「るもいコホートピア構想」を進める拠点施設としてまいります。(後略)
2009.2.20 留萌新聞|るもい健康の駅運用開始は7月中旬に 施設改修に4千万円
留萌市は、るもいコホートピア構想を進める拠点施設「るもい健康の駅」(仮称)の概要を明らかにした。市が道の旧宿泊施設・萌明荘の無償譲渡を受け、NPOなど民間主導で施設管理、事業運営を行い、市民自らが健康づくりの実践や健康意識を高める取り組みに参加し、幅広く交流する施設として開放する。4月1日付で健康福祉部に設置されるコホートピア推進室が施設に常駐し、市民と関係機関との橋渡しを行う。市は取得後に施設の改修を実施、7月中旬をめどに運用を開始する予定。施設整備費と推進室の運営費合わせて4081万3,000円を新年度予算に計上し、3月に開かれる市議会定例会に提出する。
コホートピアは「集団」を意味する医学用語コホートに理想郷を意味するユートピアを掛け合わせた造語。るもい健康の駅(仮称)は、るもいコホートピア構想を推進するための拠点施設。NPO、民間、行政などが連携して健康事業を推進し、各種情報発信や健康を通じた交流の機会を提供する。市民が自分の健康情報を把握し、医学的なアプローチから健康についての各種講座、健診、イベントなどを通じて健康に対する意識を高める。健康の駅では、行政が法律に基づく事業を提供する保健福祉センターはーとふるとの機能分担を図り、健康教室や健康サロンの開設などを予定。健康、医療、観光を連携させたヘルスツーリズムの受け入れ事業、大学などの先端研究の誘致により、臨床研究による健康効果や地域産業の振興、活性化も期待される。コンクリートブロック二階建て、延床面積約700平方㍍の施設は無償譲渡、約2,130平方㍍の土地は十年間の長期貸付による無償貸与を受ける予定。一階にはコホートピア推進室が入る事務室や会議室のほか、特定健診を実施する健康指導室や市民が簡易な健康チェックをするための健康体験室を配置。二階は研修施設として市民の交流に活用する。市健康福祉部によると、施設の改修費用は設備や電気工事など2,500万円、健康チェック機器や備品購入費1,500万円の合わせて4千万円。道の「地域政策補助金」で二分の一を賄い、残りは一般財源や市民からの指定寄附金などを充てる。3月末に施設の譲渡手続きを完了し、入札を経て改修工事を実施。工事期間は3ヶ月を見ており、運用開始は7月中旬になると見られる。市は、4月に健康の駅の認定をNPO法人地域交流センター(東京都)に申請、併せて施設の愛称を一般公募する。また6月議会に施設の設置条例や事業実施の補正予算案を提出する。
2009.1.8 留萌新聞|'09話題・ひと<4> コホートピア推進プロジェクトチームリーダー 岩崎智樹さん 市民主役の健康づくり
留萌市は今年、一定規模の集団を対象に健康診断のデータを蓄積、研究を通して疾病の予防や原因を究明する臨床研究・留萌コホートピア構想をスタートさせる。昨年9月には道内医育大学の研究者らによる「るもいコホートピア推進機構」が設立。市の推進プロジェクトチームは、今後展開される構想の事業の円滑な支援を目的に、関係各課の職員を配置し、昨年12月1日に発足した。「市民が自ら率先して健康づくり活動に参加できる環境構築に向け、推進機構と連携を図りながら事業を進めていきたい」と話す。留萌コホートピア構想は、医師が定期的に集団(コホート)の診断を繰り返し、収集した医学的データによる研究成果を市民に還元、健康長寿地域を創出する。大学や医療機関などの研究機関、研究者、製薬会社などが参加し、集めたデータを疾病予防などに活用できるシステムを構築するなど、産学官の連携による医療研究を推進する。市は昨年3月に「健康づくり計画」を策定するなど、健康づくりの推進体制を整備している。「今年は、行政と市民が一体となり、効率的な健康づくり事業を進めるため、町内会の健康づくり活動を支援する健康いきいきサポーターを配置し、健康意識の啓発、普及活動の推進や市主催の健康づくり事業、コホート研究の周知、協力などに努めたい」という。留萌市は全国、全道に比べて健診受診率が低く、医療費の約4割が生活習慣病の治療に使われているのが現状。市民が自分から積極的に健康づくりに取り組むには高い意識づけが求められる。「コホートピア構想も健康づくり計画も、目指すところは市民の健康であり、『自分の健康は自分で守る』という考え方は一緒。既存の保健予防事業を継続しながら、健康いきいきサポーターとの効果的な連携などを通じ、市民が主役となる健康づくりに取り組みたい」と意欲を見せる。(留萌市元川町2丁目、留萌市健康福祉部長、55歳)
2009.1.1 留萌新聞|健康長寿のマチ創造 コホートピア構想に着手 −留萌市−
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留萌市は今年、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や脳卒中、認知症などの疾病予防に重点を置き、地域住民の協力で得た医学的データを健康のマチづくりに役立てる臨床研究「るもいコホートピア構想」に着手する。道などの支援を受けながら第5次総合計画の基本戦略である「健康の維持と増進」、「安心できる地域医療の充実」、「地域産業の育成と支援」の各施策と連携を図り、産学官一体となった健康長寿のマチ・留萌の創造を目指す。コホートとは英語で「集団」を意味する医学用語。コホート研究は、一定の集団を対象に医師が定期的に診断し、観察、指導を続けることで脳卒中や認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止めるもの。医学研究を留萌に誘致することで理想的な医療環境を構築し、医療・福祉・産業の各分野が連携して健康長寿地域を創出するのが構想の目的。市は、基本方針として①コホート研究(医学研究)②市立病院の再生③地域産業の育成と新分野産業の創出④市民の健康づくり推進—の4項目を設定。研究では健診活動を通じて集めた臨床データを疾病予防、診断の研究に有益な「市民の知的財産」として保存。研究を進めるうえで貴重なデータベースを構築する一方、医療機器メーカーや製薬会社との共同研究で得た利益を市民の健康増進活動に役立てる。病院再生では、道北地域の家庭医養成の研修拠点として、市立病院の医師確保や経営健全化、診療所や一次医療機関をサポートする人材の育成につながるとしている。医療を中心とするバイオ産業の誘致・創出、医療教育産業の起業など、これまでの留萌にはない新分野産業の間接的、直接的な活動で経済活性化を目指す。さらに市が進めるヘルスツーリズムに医療面から働きかけ、支援プロジェクトとして医療と観光施策との連携を図る。市民の健康づくりの推進に向け、今年4月には町内会、自治会単位で「健康いきいきサポーター」を設置。行政との連携を通して健康情報を発信するほか、コホートピア推進機構のコアメンバーが地域に出向き、コホート事業への理解を呼びかける。またコホート研究の担い手となるNPO法人「るもいコホートピア」(仮称)を20年度中に設置、21年度から具体的な研究事業を推進。市も昨年12月に立ち上げたコホートピア推進プロジェクトチームを、4月から「コホートピア推進室」として設置。構想の全体調整や市の所管事業とコホートピア関連事業との調整を行う。
2008.12.28 留萌新聞|萌明荘 道と無償譲渡で調整 コホートピア推進室設置へ
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留萌市は、留萌コホートピア構想に基づく「るもい健康の駅」(仮称)の施設として運用を検討している萌明荘の無償譲渡について、施設を所有する道と調整を進めている。取得後は市の健康施設として位置づけ、来年4月1日付で健康福祉部に設置される「コホートピア推進室」を置き、道から派遣される専門知識を持つ職員の配置を検討している。26日に開かれた留萌市議会第二常任委員会(江澤順次委員長)で明らかにした。コホートピアは「集団」を意味する医学用語コホートに理想郷を意味するユートピアを掛け合わせた造語。一定の集団を対象に医師が定期的に診断を繰り返し、観察・指導を続けることで脳卒中や認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止める臨床研究をいう。留萌でのコホート研究は、地域の医療危機という留萌市の課題を臨床医学研究のアイデアで解消を図る新たな試みとして進められる。集団を長期にわたり観察・研究する日本最大規模のコホート医学研究フィールドとなる。るもい健康の駅は、官民が連携し、健康をキーワードにイベントや講演、相談などを通じて健康に関する各種情報を提供、市民が自らの健康状態を把握できる施設。21年度から本格的な活動を開始するコホートピア構想の拠点施設として開設を予定している。健康の駅施設として取得を目指す萌明荘は、道職員の宿泊施設として使用されていた。コンクリートブロック2階建て延べ705平方㍍。道有地の敷地面積は約2129平方㍍。建物は16年3月から閉鎖されている。市健康福祉部によると、12月1日付で臨時組織として立ち上げた「コホートピア推進プロジェクトチーム」を、21年度から「コホートピア推進室」として部内に設置する考えだ。市職員のほか、知的財産・技術振興分野での知識、経験を有する道職員、21年度の設立を予定しているコホート研究の実戦部隊・NPO法人「るもいコホートピア」(仮称)の職員の配置を検討している。萌明荘の無償譲渡後は施設の改修が必要とされる。当初予定していた在宅支援診療所が家庭医の派遣断念により開設できなくなったことから、5000万円程度とされていた改修費用は抑えられるものとみられる。市は厳しい財政状況にあり、改修に当っては「補助金や交付金の活用を検討している」(健康福祉部)ほか、市民から指定寄付を受けた3500万円についても寄付者の意思を尊重し、活用したいとしている。
2008.12.14 留萌新聞|在宅療養診療所 21年度の開設は困難 関係者に落胆の声
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留萌市と市立病院が「るもい健康の駅」(旧萌明荘)に開設を目指していた家庭医による在宅支援診療所は、11日に北海道家庭医療学センター(室蘭市)が医師3人の派遣を正式に断念したことで、21年度の開設は困難となった。国内最大級の研究エリアとして、4月から本格的に取り組む「留萌コホートピア構想」にかかわる施設だっただけに、関係者は「順風満帆の船出を期待していたが、(派遣断念は)非常に残念」と落胆している。家庭医による在宅支援診療所は、指導医1人、研修医2人の計3人が24時間体制で診察、往診を行いながら総合的な医療技術を学ぶもの。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)解消のための保健指導や育児相談、健康相談などを行い、予防医学に重点を置いたコホート研究と連携しながら健診データを収集する予定だった。家庭医療学センターの草場鉄周理事長は11日、笹川裕病院長に派遣断念を通知。22年度以降の派遣については未定だが、草場理事長は「指導医の派遣できるタイミングなど、双方において環境が整った場合は可能と考える」と将来の派遣に含みを持たせた。留萌コホートピア推進機構の小海康夫委員長(札医大教授)は、家庭医が派遣されないこと自体は構想の推進に特に影響はないとしながらも「私を含め、留萌の医療に貢献したいと思っていた推進機構のメンバーは寂しく思っている。留萌の医療はこれで終わりではない。これからも私たちにできることを進めたい」と述べた。市立病院の鈴木鉄男事務部長は「家庭医の派遣断念は残念なことだが、これで家庭医療学センターとの関係が終わったわけではない。結果を受け止め、今後の対応について検討していきたい」としている。
2008.12.11 留萌新聞|医師の派遣を断念 家庭医療学センター「条件整わない」在宅療養診療所
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留萌市立病院が来年4月の開設を目指す在宅療養診療所の家庭医派遣問題で、同病院の鈴木部長は、12日の市議会財政再建に関する特別委員会(江澤順次委員長)において、派遣元の北海道家庭医療学センター(室蘭市)が「条件が整わなかった」として、21年度に予定していた医師3人の派遣を正式に断念した−と説明した。同センターは11月、市立病院に「診療所の開設場所によっては協議を白紙に戻したい」との意向を伝えていた。在宅支援診療所は、市民の健康維持と交流の場として健康器具を配備したコホートピア構想「るもい健康の駅」の運用を検討している旧萌明荘に開設を予定。市街地の診療所設置、運営について留萌医師会は「医療機関の役割分担や密接な連携を著しく損なう」と反対の意向を示していた。このため市立病院は病診連携の立場から医師会との関係を維持したい−と病院隣接地に診療所を開設する折衷案を家庭医療学センターに提示していた。同センターの草場鉄周理事長は11日夜、室蘭市内で開かれた会合で笹川裕病院長に派遣断念を正式に通知。同理事長は「コホート研究、健康の駅構想と連動する在宅診療所は全道的にも先進モデルとなる取り組みであり魅力を感じていた。派遣事業の第一候補として検討を進めてきたが、(診療所の開設場所など)条件的な変化を含めて留萌市民の期待に応えられない結果となり、申し訳なく思っている」と述べた。
2008.12.11 留萌新聞|市立病院改革プラン 職員一丸で着実に実行 市議会一般質問
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留萌市議会第4回定例会は、前日に続いて一般質問が行われた。天谷孝行、珍田亮子、坂本守正、野崎良夫の4氏が留萌市環境問題や季節労働者の通年雇用化などについて理事者の考えをただした。高橋定敏市長は、国が準備を進めている定額給付金制度について「所得制限を行わず、全市民に給付したい」との意向を示した。笹川裕病院長は留萌市立病院経営改革プランの推進に関して、「地域に必要な医療を継続するため、病院職員が一丸となってプランを着実に実行していく」と述べた。一般質問の要旨は次の通り。(以下コホートピア関連分のみを掲載)
▼天谷孝行議員(留萌公明党)一、病院改革プランは、経常収支比率や病床利用率、職員給与費など目標値に対する明確な裏付けが確認できないが、実効性ある計画といえるのか。旧萌明荘以外では家庭医の派遣はないと聞いているが、このようなことで白紙になる計画はあまりにもぜい弱ではないか。
▽笹川病院長=一、人件費の適正化で21年度以降の職員給与比率を44%まで引き下げるなど、改革プランの104施策を着実に実行し、実効性のある計画としていきたい。22年度で単年度収支均衡を図る計画は絶対に変更しない。家庭医派遣による診療所開設計画は、要請時から旧萌明荘での開設が条件となっていた。派遣先の北海道家庭医療学センターが「市立病院の隣接地では病院の付属という感覚が強く、地域に根ざす家庭医養成の理念から遠ざかる可能性があり困難」としている。留萌の医療圏では幅広く診療できる医師の養成が必要。医師会と協議を重ね合意点を見つけたい。
▼野崎良夫議員(民主・市民連合)一、病院事業会計の収支計画では、21年度以降の医業収益が毎年同額で計上されているが、その根拠は何か。家庭医の派遣施設となる市街地診療所の場所を巡り、市立病院と留萌医師会との意見が異なるのは地域医療にとって不幸なことだ。なぜ食い違いが起きているのか。。
▽笹川病院長=一、21年度の固定医の状況を前提として積算しているほか管内人口の減少が見込まれる反面、高齢化による患者増が確実であることなどから、年度ごとに患者数、診療単価を積算することは根拠に乏しく、必要性が低いと判断し医業収益を同額計上した。留萌地域の医療基盤維持には家庭医の存在が必要だ。医師会とは合意に至っていないが、何度も協議し、折り合う場所があるか検討したい。
2008.12.10 留萌新聞|在宅療養診療所 医師会との合意に向け協議 市議会一般質問
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留萌市議会第4回定例会は、8日に本会議を再開し、一般質問が行われた。村山ゆかり、松本衆司、坂本茂、菅原千鶴子の4氏が留萌市立病院経営改革プラン、留萌市財政健全化計画などについて理事者らの見解を求めた。笹川裕病院長は、家庭医による在宅療養診療所の開設について「開業医への脅威になるとの誤解が生じている」として、留萌医師会(川上康博会長)合意に向け協議を進める意向を示した。高橋定敏市長は温水プールぷるもの休止に関し「期間限定の運営でも一般会計から多額の持ち出しが必要となり、市の財政では継続は困難」との発言に終始した。一般質問の要旨は次の通り。(以下コホートピア関連分のみを掲載)
▼村山ゆかり議員(萌芽クラブ)一、地域医療の推進に家庭医は不可欠と考えるが、在宅療養診療所の開設に留萌医師会との意思の疎通が図られないのはなぜか。
▽笹川病院長=一、これまでも医師会に対して家庭医の招聘に関する情報提供をしてきたが、医師会では公式な説明がないまま病院改革プランと健康の駅構想が進み、開業医への脅威になるとの誤解が生じている。医師会に対しては、診療所が家庭医養成研修施設であることを粘り強く訴え、合意に向けた調整を進めたい。
▼菅原千鶴子議員(民主・市民連合)一、(前略)病院の信頼回復に対する院長の考えを聞きたい。市内の医療機関との病診連携が進んでいない理由をどう分析しているのか。医師、看護師確保がうまくいっても収支改善が見られなかった場合、市立病院はどうなるのか。コホートピア留萌と連動した健康の駅として旧萌明荘を拠点とする計画があるが、施設整備にかかる来年度の負担はどれくらいか。
▽高橋市長=(前略)一、旧萌明荘での健康の駅開設には応分の負担があると思うが、まだ算定はしていない。行政として最大限の努力をしていきたい。
▽笹川病院長=一、市立病院の信頼回復については、患者本位の心がかよう信頼と安心の病院を目標に努力を重ねたい。在宅診療は医療の基本。より多くの在宅診療を推進し、市民に身近な医療を展開することで、信頼関係を構築したい。市内医療機関との連携は徐々に進んでおり、今後は開放型病床の開設、細胞診検査の受注などさらに医療連携の推進に取り組みたい。現在策定中の市立病院改革プランでは、収支が見込めないことは想定していない。新たな赤字を発生させないため、全職員一丸となって責任、使命感を持って計画を進めていく。
2008.12.5 北海道新聞|在宅療養診療所 留萌市の計画難航 利点は 問題は 立場異なる2人に聞く
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【留萌】留萌市、留萌市立病院が来春、市内中心部の道の旧宿泊施設(萌明荘)に開設を計画している在宅療養支援診療所をめぐり、市、病院と留萌医師会との合意形成が進んでいない。計画を前提に、市が北海道家庭医療学センター(室蘭)と交渉していた家庭医3人の派遣も留保状態。市立病院の笹川裕院長(56)と同医師会の川上康博会長(58)にそれぞれの考えを聞いた。(古田夏也)
留萌市立病院 笹川裕院長(56)|家庭医を育て医師不足に対処 地域医療を今後支えていくのは家庭医と考えています。家庭医とは、ありきたりの病気なら全般に診ることができる総合医をいい、住民が気軽に相談できる身近な医師です。萌明荘は、その家庭医を養成する施設にします。市立病院は道内でも少ない日本家庭医療学会認定の研修プログラムがあります。在宅治療を強化し、「自宅で夜突然具合が悪くなった」といった事態には家庭医が往診し、不安を解消します。ここまで医師不足に陥ったのは、専門を細分化しすぎたことも一因です。地域医療を安定化させるには、医師を自前で育てることが必要。養成には5年かかりますが、離島も抱える管内に根ざす志の高い医師を育てたい。室蘭から派遣予定の家庭医は指導医が1人、4、5年目の研修医が1人ずつです。研修では市立病院の救急医療も支援してもらいます。それだけでも救急の出張医の人件費で、年間1500万円が浮く計算です。研修の一環で、午前中は小児科や内科の診療も行います。3人の医師で診る患者は1年目で1日に17、8人。最大に増やした3年目でも、最大40人までにする予定です。このうち半分は市立病院からの紹介を予定しているので、医師会が恐れる「患者減の影響」はほとんど出ません。ここで収益を上げたり、病院の赤字を埋めたりしようとは考えていません。派遣された医師の管理者は私になる予定で、近隣の医師に配慮し責任をもって管理します。場所を萌明荘でなく、市立病院の門前か隣の道立衛生学院留萌学習センターに変更しては−との提案も医師会から受けましたが、ふさわしくないと考えます。室蘭からは「大病院の付属のような印象を与え、医師のモチベーションが下がる」と指摘があり、道の建物を利用することで道の地域支援の方針とも一致し、事業も進めやすくなります。もし今回の派遣が頓挫すると、家庭医との連携でコホート事業を進めようと計画している脳外科の医師も来なくなる可能性があり、一気に4人の医師を失うことになります。そうなると市政懇談会などの場を通じて市民に度々約束してきた「医師の確保」も危うくなります。やらないという選択肢はありません。これからも、医師会に、お願いと説明を繰り返すしかないと思っています。
留萌医師会 川上康博会長(58)|強引な計画 開業医の死活問題 市立病院の説明には、疑問点が多々あります。まず、在宅療養支援診療所は誰が手がけるのか。位置づけがあいまいです。経営プランも不明確で、喫緊の課題である病院の赤字解消につながるとは到底思えません。進め方も「強硬」に近い。もともと萌明荘を中心とした「健康の駅構想」も、市から事前に説明はなく、新聞報道で知りました。その後、笹川院長を交え、9月から6回の協議を重ねてきましたが、「なぜ、診療所が開業医の集中する中心街でなければならないか」について、納得のいく説明はありません。医師会が出した場所変更の妥協案も聞き入れられないまま、平行線です。笹川院長は「周辺の医療機関には影響が出ないようにする」といいますが、本当でしょうか。小売店で例えるなら、八百屋と鮮魚店の間にコンビニができるようなものです。それだけでなく、あたかも「公の施設」と誤解されるイメージをつくり上げている。そもそも「患者数に上限を設ける」という説明は、医師法第19条の規定(医師は診察治療の求めがあった場合、政党な事由なしには拒んではならない)に違反しています。新しもの好きの留萌人が、診療所に殺到したらどうするんでしょう。アクセスの良さで、市立病院の患者が流れ、病院の赤字が膨らむことも考えられます。1日に診る患者数の上限も、説明の度に変わっており、不信感が募っています。医師は今、完全に売り手市場です。危惧するのは派遣先との力関係。既に「モチベーションが下がる」という派遣元の主張を曲げられず、場所の譲歩もできない状態なら、今後大丈夫か不安です。笹川院長は「私の在任中は責任を持つ」といいますが、院長は退職しても、われわれは地域に残り医療を手がける。その身にもなってほしい。地域医療を日々支える小さな診療所は、患者が1日10人も減れば死活問題です。職員6人の私の病院なら職員数を削り、交代で取っている休みも与えられなくなる。行政には分からない感覚かもしれません。医師会が、市の構想すべてに反対しているのではないことは分かってほしい。市立病院がつぶれては困るし、コホート事業だった協力は惜しみません。ただ、連携が必要な時に、説明責任を果たさず、医師会の同意を得ないまま進める今のやり方には納得いきません。
2008.12.3 留萌新聞|コホートピア推進プロジェクトチーム 職員9人に辞令を交付
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留萌市は1日、コホートピア推進プロジェクトチームを設置し、担当職員に辞令を交付した。健康福祉部の岩崎智樹部長をチームリーダーにメンバー9人が市民の健康づくり、健康長寿のマチづくりに取り組む。 留萌市人事(1日)▽コホートピア推進プロジェクトチームリーダー(健康福祉部長兼任)岩崎智樹 ▽同サブリーダー(留萌市立病院医事務部長兼任)鈴木鉄男 ▽同チーフ(健康福祉部保健医療課長兼任)斉藤道雄 ▽同サブチーフ(留萌市立病院事務部経営改革室長兼任)芳賀康博 ▽同スタッフ(市民生活部市民課長補佐兼任)佐藤享子 ▽同同(健康福祉部保健医療課保健医療係長兼任)高橋一浩 ▽同同(政策経営室企画調整課主任兼任)海野聡 ▽同同(留萌市立病院事務部経営改革室主査兼任)笹和也 ▽同同(健康福祉部保健医療課保健指導係長兼任)佐々木千秋。
2008.12.3 留萌新聞|在宅診療所が話題に 経済活性化懇 高橋市長「医師会への理解求める」
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留萌市経済活性化懇談会が、1日午後4時半から留萌産業会館の留萌商工会議所議員クラブ室で開かれた。旧萌明荘に開設を検討している家庭医派遣による在宅療養診療所に対し、出席者の「医師会が診療所開設に難色を示すなど良い話を聞かないが、事業推進に影響ないのか」との問いに、高橋定敏市長は、「在宅療養診療所は、市民の健康を考え行政の大きな柱であり、医師会には民間医療機関に影響するような診療体制にはしないと説明している」と答えた。この日は市職員と農、商工、観光関係者ら15人が出席。出席者から「医師会との協議は感情論が多いと聞くが、しこりを残したまま事業を進めるのはいかがなものか」との声が出され、高橋市長は「民間医療機関に影響がない仕組みをしっかりと作り上げ、笹川裕病院長を通して医師会の理解を得るしかない」と語った。
2008.11.30 留萌新聞|コホートピア推進室設置へ
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留萌市は、一定規模の集団を対象に健康診断のデータを蓄積、疾病の予防や原因を究明する臨床研究・留萌コホートピア構想の準備を進めているが、行政として今後展開される事業への円滑な支援を目的に、12月1日から「コホートピア推進室」を設置する。健康福祉部長が全体統括を担当、関係各課の職員を兼職配置する横断型のプロジェクトチームで、九月に発足したるもいコホートピア推進機構(委員長・小海康夫札医大教授)をはじめとする団体と連携し、市民の健康づくり、健康長寿のマチづくりを目指す。コホートは、英語で「集団」を意味する医学用語。医師が定期的に診断を繰り返し、観察、指導を続けることで疾病原因や予防策を突き止めるもので、市民に成果を還元、健康長寿地域を創出するのが留萌コホートピア構想。具体的には、特定健診のデータなど住民の健康情報を収集、医学研究を進めるうえで有益なデータベースを構築し、地域特有の疾病予防に役立てる。大学や医療機関などの研究機関、研究者、製薬会社などが参加し、集めたデータを活用できるシステムを構築する。今年9月に市と市立病院、道内三医育などが提携し、るもいコホートピア推進機構が発足。公開講座の開催や健診データの知的財産申請を進めるほか、道の協力を得ながら実戦部隊となるNPO法人の設立、構想の拠点となる「るもい健康の駅」の整備などを行う。市はこれまで、企画調整室が道との情報交換、市民課が特定健康診断・特定保健指導の推進、市立病院が医師確保の面でそれぞれコホート事業の支援に当たってきたが、組織の一元化が必要—と判断、推進室の設置に向けた協議を重ねてきた。事務部長が推進機構との連絡を担当する統括補佐役となり、現在策定中の市立病院改革プランとの調整も行う。保健医療課長をグループリーダー、市立病院経営改革室長をサブリーダーとし、市民課、企画調整課からもメンバーを選出。9人体制のプロジェクトチームとした。設置期間は来年3月末まで。21年度に予定しているNPO法人るもいコホートピア(仮称)の設立支援や同法人との連携事業の推進、市民の健康づくり、健康長寿のマチづくり事業の企画、実施などに取り組む。
2008.11.22 留萌新聞|在宅療養診療所開設に黄信号
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留萌市議会第2常任委員会(江澤順次委員長)が、20日午前10時から市役所委員会室で開かれた。市立病院の鈴木鉄男事務部長は、21年度から市街地に開設予定の在宅療養診療所への家庭医3人の派遣について、派遣元の北海道家庭医療学センター(室蘭市)から「診療所の開設場所によっては協議を白紙に戻したい」との意向を受けたことを明らかにした。多額の赤字(累積不良債務)を抱える市立病院は、27年度までに黒字経営に転換する「留萌市立病院改革プラン」を策定中。同プランに盛り込まれた①在宅支援診療所を市街地に設置、運営 ②一般病床200床の療養病床への転換、運営—に対し、留萌医師会が「医療機関の役割分担や密接な連携を著しく損なう」と反対している。市立病院はコホートピア構想「るもい健康の駅」として運用を検討中の旧「萌明荘(ほうめいそう)」に在宅支援診療所を開設する方向で協議してきた。ところが医師会の反対が表面化する中で、病診連携の立場から医師会との関係を維持したい—と、病院近接地に診療所を設置する折衷案を家庭医療学センターに提示していた。これに対し、同センターは「家庭医は初期診療に重点を置いており、市民の身近な場所に開設できないなら(派遣は)難しい」と、協議をいったん白紙に戻すとの意向を示した。鈴木部長は「派遣予定の家庭医3人を失うことは病院にとっても地域にとっても大きなダメージ。今後も派遣に向けて同センターと協議を続けていきたい」としている。仮に家庭医の派遣がなくなれば、在宅療養診療所の開設はできなくなり、市立病院改革プランばかりではなく来年4月から本格的に始まるコホートピア事業の推進にも大きな影響を及ぼすことになる。
2008.11.19 留萌新聞|特定健診の推進法学ぶ 保健指導プログラム研修会
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国立保健医療科学院疫学部主催の保健指導プログラムの具体的な実施方法に関する研修会が、17日午前10時から留萌市保健福祉センターはーとふるで開かれ、管内外の保健師約30人が特定健康診断、特定保健指導の推進法などについて学んだ。特定健診、特定保健指導は、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目し、糖尿病などの生活習慣病の予防と早期発見、早期治療を行うことを目的に、20年度からスタート。研修会は、事業に従事する保健師などのスタッフを対象に開かれ、留萌市や苫前町、羽幌町のほか、上川管内鷹栖町の保健師や管理栄養士、臨床検査技師らが参加した。開会式に続いて、同科学院疫学部の今井博久部長が「岩手県における保健指導の実際」と題して講和。岩手県内の3つの自治体での事例を交えながら、「地域の保健師や管理栄養士として、疾病の特徴や何を目標に指導すべきかを理解していなければ、迅速な行動は起こせない。健診結果の分析を必ず実施してほしい」と訴えた。また、「住民を待たせたり、退屈させたりすれば指導プログラムに参加しない人が増える。民間の発想で『次も来よう』と思わせる保健指導が必要。対象者に明確な目標を設定させ、目に見える成果を示せば、関心を持ってプログラムに取り組むようになる」として、指導に対する評価を綿密に行うように呼びかけた。続いて、運動指導や栄養指導に対する取り組み方についての講演も行われたほか、留萌コホートピア推進機構のメンバーで同科学院社会疫学室の佐田文宏室長が留萌コホートの内容を紹介。グループワークではそれぞれの地域の特定健診、特定保健指導の情報交換を行った。
2008.11.19 留萌新聞|健康いきいきサポーター21年度から始動へ 年明けにも地域と協議
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留萌市は、町内会単位で健康づくりの取り組みを支援する「健康いきいきサポーター」の配置に向け準備を進めている。市内の各町内会から地域の健康づくりのリーダーとなる人材を募り、健康づくり事業に取り組む市と地域住民との橋渡し役として活動してもらう。21年度の活動開始に向け、年明けにも地域と本格的な協議を行うことにしており、所管の健康福祉部は「サポーターとともに笑顔で元気な健康のマチづくりを進め、健康維持に対する市民の意識啓発に努めたい」としている。市は平成17年10月に「健康都市宣言」を行い、健康づくりの推進体制を整備。19年からスタートした第5次総合計画でも、市民の健康を維持し、元気な市民がたくさんいるマチづくりを掲げて健康寿命の延伸、生活の質の向上に取り組んでいる。また、今年3月には市民一人ひとりが健康で生きがいのある生活を送るための指針となる「健康づくり計画」(20~28年度)を策定。市主催の健康教育事業や町内会の会合などに担当職員を派遣し、計画の重点目標や取り組み内容などの説明に努めている。地域住民の健康維持、増進を図るには、個人の健康意識を高めることが必要とされるが、行政だけの取り組みでは限界がある。市は、行政と市民が一体となり、より効率的な健康づくり事業を推進することを目的に、今年春からサポーター制度の創設に向けた検討を重ねてきた。健康いきいきサポーターは、町内会が世帯規模などに応じて1~3人を推薦し、市長が委嘱する。委嘱されたサポーターは、町内会での健康意識の啓発、普及活動の推進や市が実施する健康づくり事業、来年4月から本格的にスタートする「コホート(集団)研究」の周知、協力のほか、健康に関する知識の習得などに努める。また、20年度から始まったメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を対症とした特定健診についても、サポーターの協力を得ながら地域の受診率の向上に取り組む考えだ。今年9月に設立されたるもいコホートピア推進機構の実働部隊で、来年4月に発足予定のNPO法人と連携しながら研修会を開く考え。健康福祉部は「地域から健康づくりへの意識づけを進め、効率的な事業推進のための制度にしたい」としている。
2008.11.18 留萌新聞|初のコホートピア健康祭りにぎわう
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るもいコホートピア推進機構(委員長・小海康夫札医大教授)主催の第一回コホートピア健康祭り「からだ探検はっけんフェアー」が14、15の両日、留萌市中央公民館で開かれた。会場には中高年を中心に延べ100人の市民らが訪れ、特殊機器による健康測定や講演などを通して、健康維持や疾病予防の知識を深めた。初日は、午後6時半から前夜祭が行われ、同推進機構委員で北海道大学の多田光宏准教授が「脳を守るアンチエイジング」と題して講演。2日目は、午前10時から「参加して楽しむ健康体験コーナー」と銘打って、手のひらで計測する心電図や塩分摂取量測定器、体組成計のデモンストレーションをはじめ、張りのある肌に必要な水分量や油分、肌のきめなどをチェックする「ロボスキンアナライザー」や画面に示された光の順番をたどる早さや正確さで脳の認知度を測定する「タッチM」など特殊機材の体験が行われた。留萌市立病院の笹川裕院長による食後高血糖の保健指導も行われた。午後2時からは、日経BP社医療局の宮田満・主任編集委員が「バイオと皆さんが創(つく)る健康」と題して、講演した。コホートピアの取り組みを地域住民に紹介し、事業推進に理解を深めてもらうことがねらい。初日は、午後6時半から前夜祭が行われ、小海委員長が「もっと身近なメタボのお話」、同推進機構で北海道大学の多田光宏准教授が「脳を守るアンチエイジング」と題して講演。両氏は「健康づくりの第一歩は健康診断から。まずは積極的に健診を受けてください」と口をそろえた。2日目は、午前10時から「参加して楽しむ健康体験コーナー」と銘打って、手のひらで計測する心電図や塩分摂取量測定器、体組成計のデモンストレーションをはじめ、張りのある肌に必要な水分量や油分、肌のきめなどをチェックする「ロボスキンアナライザー」や画面に示された光の順番をたどる早さや正確さで脳の認知度を測定する「タッチM」など特殊機材の体験が行われた。留萌市立病院の笹川院長による食後高血糖の保健指導も行われ、参加者に「空腹時の血糖値で正常と診断されても安心してはいけない。食後の血糖値を抑えるためには腹八分目を意識し、水溶性の食物繊維を十分に良くかんで食べ、食後1時間で歩くことが大切」と呼びかけた。また午後2時からは日経BP社医療局の宮田満・主任編集委員が「バイオと皆さんが創(つく)る健康」と題して講演。「生活習慣病の治療は、体質や遺伝的形質、生活環境など患者に合わせた個別の医療が必要。結核などの感染症と異なり、医師と協力し自分で治すことが求められる。生活習慣病の原因はとても複雑で、根絶にはさらなる研究が不可欠。正しい情報を提供すれば、地域は格段に健康になる。医療関係者、自治体、皆さんの連携で研究を進めるコホートを通して、留萌から日本の医療を変えてください」と語った。
2008.11.16 留萌新聞|産学官連携の重要性を学ぶ 市役所職員が勉強会
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留萌市役所職員を対象にした勉強会が、14日午後1時半から市役所会議室で開かれ、参加した係長級以上の職員20人が、補助金や交付金、助成金の獲得に対して産学官連携の重要性などを学んだ。効率のよい行政運営について知識を深めることを目的に開かれ、コホートピア推進機構のメンバーである札幌医科大学の小海康夫教授、北海道大学の多田光宏准教授を講師に開かれた。小海教授は、国の「まちづくり交付金制度」を例に、交付金獲得までのプロセスや効果的なアピールの方法などを説明。「国や道の施策を地方からリードするような事業を提案すること、そのための要素として産学官の足並みがそろっていることをPRすることが求められる。他の自治体より有利な立場に立つには、国や道が望む事業を先回りして構築することが必要で、情報収集のチャンネルづくりは不可欠な要素」と述べた。多田准教授は、コホートピア構想について「研修医制度の改正などで医師不足が指摘されているが、コホート研究は地域からの働きかけとして国などに医師確保を提案できる。研究は、市民の健康データを蓄積する住民ぐるみの運動であり、交付金の活用も市民抜きには語れない。コホートピアの本質は、医療、福祉、産業が連携するネットワークづくりにあり、若い研修医や看護師には魅力的な取り組みだ」と語った。
2008.11.13 朝日新聞|追跡 市民の生活習慣 留萌で来春研究始動
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■病気予防へデータ
■市立病院・行政連携 1万7000人対象
住民の健康データを蓄積し、長期間の観察や健康指導を通じてどんな生活習慣が病気になりにくいかを調べる「コホート(集団)研究」が来年4月、留萌市で始まる。同市立病院を舞台に大学研究者や行政が連携し、脳卒中や認知症、生活習慣病などの予防を目指す。住民1万7千人を巻き込み、製薬会社や食品会社と組むことも視野に入れており、これだけ大規模な研究は道内では初めてという。(中林加南子)
国内の先進地は福岡県久山町。61年からこれまでに8千人を超える町民を対象に健康診断や病理解剖を実施し、脳卒中の発症に糖尿病が関係することを明らかにするなどの成果を上げてきた。コホート研究を進めるには、人口流動が少なくて基幹病院が管内に一つしかないことが適当とされる。道内では留萌市に着目した札幌医大の小海康夫教授(病理学)や留萌市立病院の笹川裕院長が2年ほど前に構想を練り始めた。市や留萌支庁も巻き込んで今年9月、るもいコホートピア推進機構を設立。実施主体となるNPO法人を今年度中にも立ち上げる予定だ。生活習慣病などになりやすい人を調べるには健康状態の把握が必要。NPOは来年4月から、市民約2万6千人のうち35歳以上の約1万7千人について、問診票やメタボ健診(40歳以上が対象の特定健診)で健康状態を把握し、結果をデータベース化する。他の大学や製薬会社、食品会社などにも研究の場を提供し、日本最大規模の研究の場となることも目指す。推進機構の委員長を務める小海氏は「病気の入り口にいる人をなるべく早く見つけ、病気にならないようにしたい」と目的を語る。個人情報を扱うだけに住民の理解が得られるかどうかが鍵だ。推進機構メンバーの多田光宏・北大准教授(遺伝子診断学)は「健康に関するイベントを開くなどして広く知ってもらいたい」と話す。市中心部にある道職員の旧宿泊施設「萌明(ほうめい)荘」をシンボル的な施設にする計画もある。そこに健康器具を置いたり健康相談を受け付けたりして、健康について考えてもらう拠点とする考えだ。市は道に施設の無償譲渡を求めており、西田俊夫・留萌支庁長も「コホート研究は一石何鳥にもなる取り組みだ」として前向きに検討している。医学研究を身近に感じてもらうため、留萌特産のカズノコを用いた臨床研究にも乗り出す。カズノコは地元の水産会社に提供してもらう。最近の研究ではカズノコにはコレステロールを下げる効果があるとされ、1週間食べ続けた場合と全く食べない場合とでコレステロール値がどう変化するかを調べる。留萌市もコホート研究を支援する方針だ。市民の健診受診率は06年度で13・6%と低迷。そのうち「要指導」と診断された人が45%と、道平均より15・3ポイントも高い。特定健診について国は12年度までに受診率65%を達成できない市町村に、後期高齢者医療制度の負担金を増やすペナルティーを課す。それだけに市は、受診率が低迷したままでは財政を圧迫しかねないと心配している。そこで市は来年4月から、町内会ごとに住民の健康管理をサポートする「健康いきいきサポーター」を置き、市民の健康意識を高める方針だ。市健康福祉部は「まずは受診率向上を目指し、予防医学のためのデータ収集という次の段階につながる流れを作りたい」と話す。
2008.11.8 留萌新聞|コホートピア 14、15日に健康祭り 認知力測定など実施
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るもいコホートピア推進機構(委員長・小海康夫札医大教授)によるコホートピア健康祭り「からだ探検はっけんフェアー」は14、15日の両日、留萌市中央公民館で開かれる。9月に発足した同推進機構の初の事業で、特殊機器による認知力測定や遠隔医療デモなどが行われるほか、14日には「世界糖尿病デー」にちなんだライトアップも実施する。コホートピアは「集団」を意味する医学用語コホートに理想郷を意味するユートピアを掛け合わせた造語。コホートは、一定規模の集団を対象に意思が数年間継続して健康診断を繰り返し、データを蓄積することで脳卒中や認知症、生活習慣病などの疾病の原因や予防策を突き止める臨床研究。留萌の場合、35歳以上の住民約1万7千人を対象に行われ、「国内最大規模のコホート研究圏で、全国の医学界や健康関連事業を推進する企業の注目が集まる地域になる」(同推進機構)としている。健康祭りは、コホート事業の取組みを地域住民に紹介することで事業推進に理解を深めてもらうことが目的。初日は前夜祭として午後6時半から公開講座を開く。小海委員長が「もっと身近なメタボのお話」、同推進機構委員で北海道大学の多田光宏准教授が「脳をまもるアンチエイジング」と題して講演する。また、11月14日の「世界糖尿病デー」にちなみ、北海道電力留萌経営所の協力で中央公民館を糖尿病啓発のシンボルカラー青い照明によるライトアップイベントも実施する。15日は、午前10時から「参加して楽しむ健康体験コーナー」として北海道大学がタッチMと呼ばれる装置を使った認知力測定や旭川医大との連携による遠隔医療のデモンストレーション、中高年女性の肌年齢をチェックする「ロボスキンアナライザー」体験、留萌市立病院が食後高血糖の保健指導を行う。また、限定100人で簡易ピロリ菌検査を行うほか、午後2時からは、健康を考える市民公開講座として、日経BP社医療局の宮田満・主任編集委員が「バイオと皆さんが創(つく)る健康」と題して特別講演を行うことにしている。
2008.11.2 留萌新聞|カズノコの健康効果を研究
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るもいコホートピア推進機構(委員長・小海康夫札医大教授)の委員、多田光宏・北大准教授らは10月30日、留萌市立病院で記者会見を行い、井原水産株式会社(本社・留萌市、井原慶児社長)の協力を受け、留萌の特産品であるカズノコの健康効果について臨床研究することを明らかにした。同推進機構の21年度事業の第1弾として実施するもので、管内から募ったボランティアがカズノコを摂取、血液検査などでHDL(善玉)コレステロールやLDL(悪玉)コレステロール、中性脂肪、血圧などの変動を調べ、健康効果を科学的に検証する。コホートピアは、「集団」を意味する医学用語、コホートに理想郷を意味するユートピアを掛け合わせた造語。一定集団を対象に医師が定期的に診断を繰り返し、観察、指導を続けることで脳卒中や認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止める臨床研究をいう。留萌のコホート研究は、地域医療の危機に直面する留萌市の課題を臨床研究のアイディアで軽減する新たな試みとして進められる。集団を長期にわたり観察、介入研究する日本最大のコホート医学研究フィールドとなる。コホートピア推進機構は、食品の健康効果を証明する臨床研究を展開するに当たり、留萌の特産として知名度の高いカズノコに注目。一般に魚卵はコレステロールが高いと思われているが、動物実験の結果、DHA, EPAなどの不飽和脂肪酸を大量に含むカズノコは善玉コレステロールを高める一方、悪玉コレステロールの数値を下げることがわかっている。同推進機構ではその効果を臨床的に実証することで国内シェアの半数を占める留萌のカズノコの売上増加に寄与、地元産業の活性化に結びつける。臨床試験の手法や実施期間、対象者の人数などはこれから決めるが、試験参加者を2つのグループに分け、試験期間の途中でカズノコを食べるグループ、食べないグループを入れ替える「クロスオーバー試験」を実施する。これにより統計学の手法を応用し、科学的に厳密な検証を行うことができる—としている。現在、健康食品や機能性補助食品を研究する数社から協力の打診を受けている。同推進機構委員の多田・北大准教授は「カズノコの臨床研究を、コホート研究による地域産業活性化の最初のステップにしたい」としている。
2008.11.1 北海道新聞|留萌コホート研究第一弾 カズノコの健康効果実証
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留萌コホートピア推進機構(委員長・小海康夫札医大分子機能解析部門教授)は31日、脳卒中や認知症予防に重点を置く「留萌コホート研究」の第一弾として、留萌の水産大手井原水産(井原慶児社長)の協力で、カズノコの健康効果に着目した臨床試験を来年4月から始めると発表した。研究は、協力者に塩抜きのカズノコを1週間食べ続けてもらい採血。その後の1週間はカズノコを食べずに採血し、善玉コレステロールの数値がどう変化するかなどを調べる。数十人規模の予備試験を行った後、留萌管内在住者を対象に協力者を募る。カズノコの提供や協力者への謝礼は、井原水産が負担する。同機構メンバーの多田光宏北大准教授は「近年の研究で、カズノコはコレステロールを低下させる機能があるとされている」とし、「健康への効果を科学的に裏付け、地元食産業の進展に結び付けたい」と話している。
2008.10.29 留萌新聞|市立病院経営改革推進委 療養への転換再考を 医師会の提案を付帯意見に
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第6回留萌市立病院経営改革推進委員会(菊池健委員長)が、27日午後6時から市役所委員会室で開かれた。出席した委員らが、市外への患者流失防止や病床利用の効率化、材料費の抑制といった市立病院改革プランの施策の展開方針などを確認した。また、留萌医師会から出された在宅療養診療所での診療、一般病床の療養病床への転換について再考を求める提案を付帯意見として加えることを了承した。市立病院では、文言の精査を行ったあと、委員の了承を受けた時点でパブリックコメントを実施することにしている。素案では市立病院存続のためには今まで以上の収入増大を図る一方、人件費や経費などの削減に努め、診療圏の患者数に対応した病床数の見直し、診療科目の再編などが不可欠としている。①医療の質の向上、②患者サービスの向上、③職員の資質の向上—を基本方針に、留萌二次医療圏の拠点病院としての役割の再確認、地域の患者ニーズや高齢化に伴う疾病に対応可能な体制の検討、地域の医療機関・福祉施設との連携、機能分担の検討などを課題としている。改革プランの展開に当たって①経営改善の推進、②柔軟で意欲の高い組織づくり、③患者中心の医療推進—の視点に基づき、脳神経外科医師の確保や一般病床248床による運営、周辺公立医療機関との薬品、診療材料の共同購入の検討など合わせて110項目の施策を推進する。この日は委員9人が出席。来年4月から「るもい健康の駅」に開設を予定している、家庭医による在宅療養診療所での診察旧萌明荘での家庭医の診療について医師会は反対しているのであり、家庭医の派遣そのものやコホートピア活動に反対している訳ではありません。、一般病床350床から削減する102床の指定管理者制度導入による療養病床の運営について、再考を求める提案が留萌医師会から出されたことから、付帯意見として加えることにした。市立病院では、手直しした素案を委員に配布、了解を得た時点で原案に格上げし、パブリックコメントを実施。意見集約が終了した段階で同プランの成案として委員に提示することにしている。
2008.10.22 留萌新聞|コホートピア推進連携室設置へ 円滑な事業を支援
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留萌市は、道内3医育大学などと提携し、一定規模の集団を対象に健康診断のデータを蓄積、疾病の予防や原因を究明する臨床研究「留萌コホートピア構想」の準備を進めている。9月に構想の中核を担うるもいコホートピア推進機構(委員長・小海康夫札医大教授)が発足したが、市は行政として、今後展開される事業への円滑な支援を目的とした「コホートピア推進連携室」(仮称)を設置することにした。組織の所管部局や配置する職員の選定などはこれからだが、市はできるだけ早くに立ち上げ、推進機構などと連携を図りながら健康のマチづくりに努めたい−としている。
コホートとは、英語で「集団」を意味する医学用語。コホート研究は、医師が定期的に診断を繰り返し、観察、指導を続けることで脳卒中や認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止めるもので、その成果を住民に還元し、医療・福祉・産業において健康長寿地域を創出しよう—というのが留萌コホートピア構想。構想の名称は、コホートに理想郷を意味するユートピアを掛け合わせている。具体的には、特定健診データなど住民の健康情報を収集し、医学研究を進めるうえで貴重なデータベースを構築、地域に特有な疾病の予防に役立てる。大学や医療機関などの研究機関、研究者が参加し、収集したデータを活用できるシステムを作り上げる。9月には市と市立病院、道内3医育大学が提携してるもいコホートピア推進機構が発足。20年度中に公開講座の開催やメタボ健診の知的財産権申請への準備を進めるほか、道の協力を得ながら実戦部隊となるNPO法人の設立、構想の拠点となる「るもい健康の駅」の整備などを行う。現在、市企画調整室が道との情報交換、市民課が特定健康診断・特定保健指導の推進、市立病院が医師確保の面でそれぞれコホート事業の支援に当たっている。今後の事業推進にあたって推進機構、NPO法人と連携しながら、留萌の健康づくりに向けた取り組みを行うためには組織の一元化が必要と判断し、コホートピア推進連携室の設置を決めた。市は今後、庁内、市立病院を含め設置後の所管部局の選定、配置する職員の人数、業務を専任とするか従来業務との兼任とするか—など、できるだけ早い時期に決定したいとしている。
2008.10.16 留萌新聞|コホートピア構想施策内容近く提示 留萌市議会第2常任委
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留萌市議会の第二常任委員会(江澤順次委員長)が、14日午前10時から市役所委員会室で開かれ、市民生活部、健康福祉部と留萌市立病院の所管事項について報告を受けた。留萌コホートピア構想の運営方針などがいまだに議会に報告されていない—との委員の指摘に、岩崎智樹健康福祉部長は「現状ではしの施策として議会に報告すべきでないと判断した。近く内容を精査し、議会に示したい」と述べた。この日は江澤委員長のほか委員7人が出席。市民生活部は水道料金の改定についての協議状況、健康福祉部はコホートピア構想の概要と関連施策、留萌市立病院は21年度から市内診療所に配置を予定している家庭医による診療についてそれぞれ報告した。この中で、委員が「るもいコホートピア推進機構が設立され、高橋定敏市長が顧問の1人に就任するなど、市の重要施策に位置づけられているが、報道が先行し、今日まで議会に対して報告がないのはおかしい」と指摘した。岩崎部長は「構想の基本理念については各所で公表しているが、施策の中身は現在、道など関係機関と協議を重ねている最中であり、市の施策として報告できる状況ではない。今後、コホートピア推進機構の小海康夫委員長らと内容を協議したい」と述べた。また、鈴木鉄男市立病院事務部長が「コホート事業は、道や市の施策に取り込まれる形で推進されており、市の施策との整合性を考えると内容を整理する必要がある。コホートピア推進委員と市の考え方をすりあわせていきたい」と話した。
2008.9.30 留萌新聞|市立病院常勤医師来春までに5人着任
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多額の赤字(累積不良債務)を抱える留萌市立病院の経営改善は、救急、小児、産婦人科など不採算部門の政策的医療の維持から、固定(常勤)医の確保が最大の課題となっている。今年9月から内科で1人が常勤勤務を開始、現在策定中の経営改革プランには脳神経外科医の確保が盛り込まれているが、来年4月までには脳神経外科、皮膚科などで5人を確保できる見通しとなった。特に皮膚科は、改革プランで「固定医が確保できない場合には休診も検討」とされており、笹川裕院長は「わずかな光明が見えてきたが、まだまだ油断はできない。地域医療を守るため、職員一丸となって最大限の努力を図りたい」と話している。/p>
2008.9.27 留萌新聞|山口外一さん市に3500万円寄付 条例の適用第一号 「るもい健康の駅」整備に活用
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留萌市内の元会社役員の山口外一さん(83)が25日、留萌市に3,500万円を寄付した。24日に施行した「留萌市応援寄付条例」の適用第1号で、午後1時から市長室で行われた贈呈式では、市幹部職員が見守る中、山口さんが高橋定敏市長に目録を贈呈。高橋市長が山口さんに感謝状を手渡した。山口さんは、昭和33年に有限会社山口木材商事を設立。長い間、木材業界の振興に貢献し、平成13年に廃業するまで木材加工ひと筋に歩んできた。寄付は、留萌コホートピア構想の推進拠点となる「るもい健康の駅」の整備に対して行われ、贈呈式では、山口さんが「健康な高齢者をつくることが、私の愛する留萌の利益を生み出すことにつながる。市民とともに歩む明るいマチづくりの拠点整備のため、有効に使ってください」と高橋市長に目録を手渡した。高橋市長は「いただいた浄財は、お年寄りを含む市民の健康づくりのために使いたい。山口さんの『留萌を愛する』という強い思いをしっかり受け止め、今後の行政運営に努めたい」とお礼を述べ、感謝状を贈った。山口さんは昭和48年から山口木材商事が文化センターの整備資金や社会福祉事業基金などを寄付するなど地域のために貢献。平成17年にはデザイン灯台「波灯の女(ひと)」の制作費として、市の寄付金としては最高額となる5千万円を贈っており、今回の寄付と合わせて総額は1億円を超える。
2008.9.26 北海道新聞|「留萌のため」3500万円 応援寄付条例で第1号
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【留萌】留萌市末広町2の元木材業山口外一さん(83)は25日、同市が来年度から着手する健康づくり事業の整備基金に3千500万円を寄付した。市外からのふるさと納税を含め寄附金を7つの事業の基金に積み立てる、同市応援寄付条例活用の第1号。山口さんは「愛する留萌が財政再生団体になりそうだと新聞で知った。立て直すきっかけとし、高齢者が生き生きと暮らせる街にしてほしい」と話した。目録を受け取った高橋定敏市長は「強い思いをしっかり受け止めました」と頭を下げた。山口さんは留萌で営んでいた木材業を2001年に廃業。今回を含め、留萌港のブロンズ製灯台製作費用5千万円など市に計12件、総額1億2百63万円分を寄付している。
2008.9.19 北海道医療新聞|国内最大の研究体制 留萌コホートピア構想 住民健診を長期観察 来年度本格スタートへ 留萌市立
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留萌市立病院(笹川裕院長・354床)は、道、道内3医育大、留萌医師会等との連携で、住民の健診を長期的に観察、取り組みに介入し、国内最大のコホート研究体制を築く「るもいコホートピア構想」の準備を進めている。推進機構を設立するとともに、健診拠点となる診療所整備や住民周知を進め、21年度本格スタートを目指す。疾病予防にとどまらず、企業との共同研究推進で、産業創出にも結び付ける。同病院と3医育大研究者が2年前から準備を進め、構想を立案。コホート研究対象者は、留萌市だけで40歳以上の1万5,000人、35歳まで年齢制限を下げると1万7,000人を想定する。管内の他自治体住民にも協力を求め、健診促進で疾病予防につなげる。コホート研究を通じ、3医育大若手医師のキャリア形成や、保健師、治験コーディネーターなど地域医療を支える人材を育成。特定健診受診率アップにより特別報奨助成金の獲得を目指すほか、医療機器メーカーや製薬会社との共同研究にも力を入れ、将来的には留萌地域を医学研究のメッカに発展させ、医療・バイオ・教育産業の企業誘致で、産業振興にも取り組む。健診拠点は市立病院サテライトの沖見診療所を(無床)を移転拡充して対応。北海道家庭医療学センター(室蘭市)から医師3人の派遣を受け、一般外来のほか、健診、保健指導を推進し、住民の健康づくりのための運動器具も設置する計画。移転先として道の旧宿泊施設(同市住之江町)が候補に挙がり、道に譲渡を申し入れている。市立病院に事務局を置く推進機構の小海康夫委員長(札医大分子機能解析部門教授)は留萌市は札幌や旭川から研究者が行き来しやすい上、「人口移動が少なく長期追跡が可能な点が魅力的」と協調。推進機構委員の笹川院長は独自問診票活用のメタボ健診を試行するなど、予防医療に取り組んでおり、公開講座などで健診受診と研究協力を住民にアピールしていく考えだ。
2008.9.19 留萌新聞|市立病院笹川院長 札医大の臨床教授に 医師不足解消に期待
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留萌市立病院の笹川裕院長(55)が、札幌医科大学に今春新設された大学院臨床研修コースの臨床教授に任命された。11日付の同大教授会で承認されたもので、医師免許を持つ院生を同病院で臨床医として受け入れ、笹川院長が指導する。早ければ来年度から複数の医師が派遣される見込みで、市立病院の医師不足解消につながるものと期待される。札医大では、大学院に従来の基礎研究コースに加え、今年4月から臨床研修コースを設置。同コースは医師免許の取得者が対象で、笹川院長によると取得後3~10年目の若手医師が多いという。同大は、4年間の在学期間のうち1~2年を地域の臨床診療に派遣。院生は教授から指導を受ける傍らデータを収集し、その結果を論文にまとめる。現在の大学院生は12人で、派遣対象となる道内の医療機関は30ヶ所。臨床教授の任命は道内でも数が少なく、一定程度の施設規模があり、臨床件数が確保できることなどから決まった。笹川院長は「全国でも最大級となる留萌でのコホート研究の本格スタートとの相乗効果で、将来的には相当数の医師が派遣されるだろう」と話している。
2008.9.14 留萌新聞|るもいコホートピア推進機構が設立 公開講座など開催
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るもいコホートピア推進機構(小海康夫委員長)の設立報告会が、12日午後6時半から市役所委員会室で開かれた。同推進機構の委員や顧問ら15人が出席し、設立趣旨や20年度の活動計画などについての説明が行われた。—コホートピアは「集団」を意味する医学用語「コホート」に理想郷を意味する「ユートピア」を掛け合わせた造語。一定集団を対象に医師が定期的に診断を繰り返し、観察・指導を続けることで脳卒中や認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止める臨床研究をいう。留萌でのコホート研究は、地域医療の危機という留萌市の課題を臨床医学研究のアイディアで軽減する新たな試みとして進められ、集団を長期にわたり観察・介入研究する日本最大のコホート医学研究フィールドとなる。研究エリアとしての留萌のメリットは、大都市圏と異なり人口の移動が少なく、長期間にわたる追跡調査が可能なこと。札幌から約2時間という地理的要因も大きく、研究調査の対象人口は35歳以上の市民約1万7千人が見込まれている。報告会では、代表顧問に就任した旭川医科大学の吉田晃敏学長が「日本最大規模の研究組織の誕生をうれしく思います。委員らの英知を結集し、健康増進、疾病予防に力を尽くしていきたい」とあいさつ。顧問の西田俊夫留萌支庁長、高橋定敏市長が「事業の推進は新たな健康科学や産業発展の呼び水となる。計画の実現に最大限の応援ををしたい」などと述べた。小海委員長は「市民にコホートピアを正しく、広く伝え、より多くの人に協力を求めたい」と語った。今後、留萌コホートピア構想では今年度中に同構想の広告活動および公開講座の開催、メタボ健診の知的財産申請への準備のほか、道の協力を得ながら実戦部隊となるNPO法人の設立。市内に拠点となる「るもい健康の駅」の整理などを行う。るもいコホートピア推進機構の役員は次の通り。敬称略。▽代表顧問 吉田晃敏、▽顧問 西田俊夫、高橋定敏、▽委員長 小海康夫、▽委員 川上康博、三島茂、竹中貢、多田光宏、佐田文宏、笹川裕、▽事務局 鈴木鉄男。
2008.9.14 留萌新聞|山口さんを名誉駅長に コホートピアるもい健康の駅 制帽を贈呈
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留萌市は、留萌コホートピア構想の推進拠点となる「るもい健康の駅」の設置準備を進めている。12日には、健康の駅に設置するフィットネスマシンの購入資金などの寄付を予定している元会社役員・山口外一さん(83)に対し名誉駅長の制帽を贈った。山口さんは、昭和33年に有限会社山口木材商事を設立。平成13年に廃業するまで木材加工一筋に歩んできた。山口さんが留萌コホートピア構想に理解を示し、同構想推進機構に財政支援を予定していることから、推進機構として山口さんの思いにこたえたい—と名誉駅長への就任を打診、シンボルとなる制帽を贈った。贈呈式は午後4時から市立病院で行われ、高橋定敏市長、笹川裕院長のほか、コホートピア推進機構設立準備委員会の札幌医科大学の小海康夫教授、北海道大学の多田光宏准教授、国立保健医療科学院社会疫学室の佐田文宏室長が出席。小海教授から山口さんに駅長制帽が手渡された。健康づくりのため毎日のトレーニングを欠かさないという山口さんは「留萌市で健康なお年寄りをつくるということが大切。高齢者の健康を守る拠点である健康の駅から、市民が留萌に住み続けたいと思うような取り組みをしてほしい」と述べた。
2008.9.10 留萌新聞|るもいコホートピア推進機構10月1日に立ち上げ 12日夜に設立報告会
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留萌市は、来春から脳卒中、認知症などの予防に重点を置いた臨床研究「コホート」に着手する。現在、地域住民の協力で得た医学的データを健康のマチづくりに役立て、研究成果を地域振興に結びつける留萌コホートピア構想を立案中で、10月1日には同構想の母体となる「るもいコホートピア推進機構」を立ち上げる。12日午後6時半から市役所で同推進機構の設立報告会が行われ、趣旨や活動の概要などについて発表する。コホートとは英語で「集団」を意味する医学用語。コホート研究は一定の集団を対象に医師が定期的に診断を繰り返し、観察、指導を続けることで、脳卒中や認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止めるもの。その成果を住民に還元し、医療・福祉・産業において健康長寿地域を創出しよう—というのが留萌コホートピア構想。構想の名称は、コホートに「理想郷」を意味するユートピアを掛け合わせている。具体的には特定健診データなど住民の健康情報を収集し、医学研究を進めるうえで貴重なデータベースを構築、地域に特有な疾病の予防に役立てる。大学や医療機関などの研究機関、研究者が参加し、収集したデータを活用できるシステムを作り上げる。同構想は、医師にとっても魅力的な研修活動の場となることが期待されることから、留萌市立病院の医師確保や経営健全化、地域医療を支える人材の育成につながるだろう—としている。構想の核となるるもいコホートピア推進機構はコホート研究を推進するためのPR活動、情報提供を担うとともに、研究の指針となる倫理的管理を行う部門として設置され、代表顧問に旭川医科大学の吉田晃敏学長、委員長に札幌医科大学の小海康夫教授が就任する予定。また、研究の担い手となるNPO法人を年度内に設置し、21年度から具体的研究事業を推進する。市は、将来的には事業の進展により地域の活性化に結びつくと期待している。
2008.9.4 北海道新聞|留萌に健康づくり拠点 「萌明荘」を改修 来春開設
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【留萌】市と市立病院は来年四月、道の旧宿泊施設「萌明荘(ほうめいそう)」(住之江町一)を改修し、住民の健康づくりの拠点施設「るもい健康の駅」を開設する。診療所として家庭医(総合内科医)が患者を診察するほか、健康運動器具を配備し、住民が気軽に立ち寄れる交流施設とする。 旧萌明荘はコンクリートブロック造り二階建て延べ約七百平方メートル。二〇〇四年に閉鎖された。市は道に建物と土地の無償譲渡と、概算約六千万円の改修費用の財政支援を要請。西田俊夫留萌支庁長は「全面的に協力する」としている。 改修計画では、十四部屋ある二階を診療所とし、一階は健康運動器具などを置いて住民が運動を楽しめるようにする。これに伴い市立病院の沖見診療所は閉鎖し、「健康の駅」に集約する。 家庭医は、北海道家庭医療学センター(室蘭)が三人を派遣する。診察のほか、メタボリック症候群解消のための保健指導や育児相談、健康相談にも応じる。 市立病院は医学部のある道内三大学と準備を進めている、予防医学に重点を置いた「コホート研究」と「健康の駅」の役割とを絡める考えで、「メタボリック症候群改善にはどの程度の運動が有効か」などを家庭医と連携して調べる。 市立病院の笹川裕院長は「病院にかかる前の気軽な相談窓口にすることで、病気の早期発見や予防にもつなげたい」と話している。(古田夏也)
2008.8.16 北海道新聞|集団対象に予防医学研究 留萌に「コホートピア」道内初、来春から
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【留萌】留萌市立病院(笹川裕院長)は、三十五歳以上の市民を対象に脳卒中、認知症などの予防に重点を置いた臨床研究「コホート」に、来春から道内で初めて着手する。これに向けて、同病院は道内の医大、道などと連携して「留萌コホートピア構想」を立案中で、同構想を推進するNPO法人の年内設立を目指す。 コホート研究は、一定の集団を対象に一、二年に一回、五年を一区切りとして医師が健診を繰り返し、観察、指導を続けて脳卒中、認知症、生活習慣病などの原因や予防策を突き止めるもの。市立病院によると、全国の自治体で取り組みが増えているが、道内では初めてになる。市立病院は札幌医大、旭川医大、北大の研究者と共同で、研究の担い手のNPO法人「るもいコホートピア」を年内をめどに発足させる。約二万六千人の市民のうち三十五歳以上の約一万七千人から協力者千人を募り、来春から研究を始める。将来は三十五歳以上全員を対象とする方針。
研究メンバーの多田光宏北大准教授は「留萌は対象者の三十五歳以上の人口移動が緩やかで、基幹病院が一つに集約されており、研究者にとって魅力的な地域」と話す。
研究費用は準備段階で二、三百万円の見込み。大学の研究基金や国の補助金などで賄う予定。市立病院は道へも財政支援を要請している。
コホート研究の一環として、市立病院は市内の道の旧宿泊施設「萌明(ほうめい)荘」(現在閉鎖中)を診療所に転用を計画。新たに医師三人を配置、対象者の健診、保健指導をし、住民の健康相談にも応じる。
留萌市などは、コホートの進展により将来は医師や研究機関の誘致、医療機器メーカー、製薬会社の進出を促し、沈滞が続く地域の活性化に結びつけたいと期待している。
2008.8.15 留萌新聞|留萌市のコホートピア構想 支庁が全面支援へ 旧萌明荘 無償貸与も検討
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留萌支庁は、留萌コホートピア構想の推進を計画している留萌市に対して人的、活動資金など全面支援を検討している。支庁地域政策課によると、支援内容については末澤秀樹・副支庁長を本部長とした全庁くるみの支援チームを立ち上げて協議する。また、活動拠点として市内花園町三丁目にある道職員の宿泊施設で、現在、閉鎖している旧「萌明(ほうめい)荘」の無償貸与も考えている。コホートピアは疫学用語で「集団」を意味するコホートと「理想郷」のユートピアを掛け合わせた造語。特定地域で健康な住民の生活習慣を調査し、後に発生する疾病との関係を長期間にわたり追跡調査する手法。人口移動が少なく、拠点病院が一つしかない地域が好ましいとされている。道内で推進している地域はなく、全国では福岡県久山町の取り組みが知られている。留萌市は、年内にコホートピア構想の推進母体になる「るもいコホートピア推進機構」を設置する。推進機構は、道内の医科大学や奉仕団体、市民団体などの代表で組織する予定だ。また、年度内に具体的な研究を進めるNPO法人「るもいコホートピア」の設立を計画している。支庁はすでに留萌市から推進機構参画の打診を受けており、留萌保健福祉事務所保健福祉部の三島茂部長の参画を予定している。また、同市からの具体的な提案に沿って、財政面での支援を道に要請する考えだ。無償貸与を視野に入れている旧「萌明荘」の建物は、コンクリートブロック二階建て述べ七百五平方㍍。道有地の敷地面積は約二千百二十九平方㍍。建物は十六年三月から閉鎖している。留萌支庁の西田俊夫支庁長は「コホートピア構想」は、市民の健康づくりや地域医療の再生、さらに新しい健康産業の創出につながる可能性がある。全道のモデルとなるよう支庁内の関係課ぐるみで応援したい」と話している。
2008.7.25 留萌新聞|留萌コホートピア構想 — 健康長寿のマチへ 年内に推進機構を設立
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留萌市は、留萌コホートピア構想を明らかにした。地域住民の協力で得た医学的実証データを健康のマチづくりに役立て、研究成果を地域振興に結びつけるのがねらい。年内に同構想の推進母体となる「るもいコホートピア推進機構」を設置、年度内に具体的に研究を進めるNPO法人るもいコホートピアの設立を予定している。 地域住民の健診データを把握し、長期にわたる追跡で予防医学を確立するのがコホート研究事業。その成果を住民に還元し、医療・福祉・産業においてユートピア(健康長寿地域)を創出しよう—というのが留萌コホートピア構想。具体的には特定健診データなど住民の健康情報を収集し、医学研究を進めるうえで価値あるデータベースを作成、地域特有の疾病予防に役立てる。大学などさまざまな研究機関が参加し、データを活用できるシステムを構築する考えだ。また、医師にとっては魅力的な研修の場になるため、留萌市立病院の医師確保と経営健全化、地域医療を支える人材の育成につながるだろう—としている。留萌市によると、コホート研究を推進するためのPR活動、情報提供を担うるもいコホートピア推進機構を設立。道内の医科大学、奉仕団体、市民団体などの代表で組織し、年内に立ち上げる方針。また、NPO法人を設置し、具体的に研究事業を展開する。研究成果を健康都市の実現に生かすほか、地元食材のブランドアップ、さらに医療、健康関連産業の誘致などに結びつけ、地域活性化を図っていく考えだ。
2008.5.22 読売新聞|留萌にコホートピアを NPO設立準備 臨床研究請け負い、資金集め 市民の病気予防で医療費削減
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留萌市で予防医学に重点を置いた「自立事業型臨床研究支援拠点構想」(コホートピア構想(注))を実現しようと、札幌医科大学、北海道大学の研究者らと留萌市立病院などが連携してNPO法人の設立準備を進めている。設立したNPOで、道内外の企業が開発した健康食品や医療機器の臨床研究を請け負って資金を得、その資金で市民の病気予防や医療費の削減を目指す。医師不足で地域医療の崩壊が社会問題化する中、地域医療の再生に向けた新たな取り組みとして注目されそうだ。設立準備を進めているのは、札医大分子機能解析部門の小海康夫教授、北大遺伝子病制御研究所の多田光宏准教授、留萌市立病院の笹川裕院長、道立衛生研究所生物科学部の佐田文宏部長の4人。留萌市や留萌支庁が全面協力している。構想の実現に向け、小海教授らは昨年から留萌市民を対象に、病歴やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)などについてのアンケートを始めており、調査結果をもとに、今年度中に市民の健康状態をデータベース化する。来年度以降にNPO法人を設立して本格的な活動を開始する方針だ。臨床研究は、市民の協力で、健康食品を摂取した効能調査や、新しい医療機器を使った診察の精度確認など、幅広い分野を想定している。既に企業側からの打診を受けているという。臨床研究を請け負って企業から得た資金は、看護師の巡回用の車を購入するなど、市民の病気要望に充てられる。市民の健康情報には、4月にスタートした「特定健康診査・特定保健指導」(メタボ健診)を連動させる。市民一人ひとりの食生活や生活習慣のデータをきめ細かく集めて「オーダーメード予防医学」(小海教授)を目指す。低たんぱく質で知られる「留萌米」が、たんぱく質の過剰摂取が原因のアレルギーの改善に効果があるかについても調べることにしており、小海教授は「将来的には認知症予防の臨床研究にも取り組みたい」と話している。
(注)コホートピア構想 コホートピアは疫学用語で「集団」を意味するコホートとユートピアを掛け合わせた造語。コホート研究は、特定地域で健康な住民の生活習慣を調査し、後に発生する疾病との関係を長期間にわたって追跡調査する手法で、人口移動が少なく、拠点病院が一つしかない地域が好ましい。福岡県久山町の取り組みが全国的に知られている。