コホートピアとは何ですか?
Answer____01_____
医学研究の最も基本となるコホート(前向き)研究が行える住民の協力体制を作り、そこに医学の研究を招いて、それから得られる、いろいろな恩恵を地域住民にもたらし、医療・福祉・産業においてユートピアを作ろうとする構想です。
コホートピアの目的は何ですか?
Answer____02_____
市民に健康と安心をもたらし、地域にコミュニティ力に基づく活性化をもたらすことを目的とします。「コホート研究」は目的を達成するための手段であり、究極の目的は「地域医療に関する理想郷」をつくることといっていいでしょう。しかし、それは特別なことではないかもしれません。ごく普通の人々がごく普通に暮らして、たった1度の人生を有意義なものにできる街をつくろうということなのです。
コホートピアは、どのように運営されるのですか?また、誰が運営するのですか?
Answer____03_____
現在準備中のNPO法人「るもいコホートピア」という非営利法人によって運営されます。また、運営が適切かどうかは、留萌市の住民の皆様を含んだ推進機構という団体によって監視されます。NPO法人「るもいコホートピア」は住民の皆様に顔の見えるわかりやすい法人として、留萌に本拠を置きます。
医学研究を呼び込むというのは、どのようなことですか?
Answer____04_____
大学や研究機関の研究者のネットワークによる研究の募集のほか、マスコミやホームページなどを通じて、研究を公募します。優れた研究で、しかも住民の保健・福祉に役立つ研究を採用し、その研究者や企業に研究費を出してもらい、NPO法人「るもいコホートピア」が協力して研究を遂行します。それは、広く医学研究に機会を提供する「医学研究のオープンフィールド」という新しい試みです。
「医学研究のオープンフィールド」とはどのような研究も受け入れるのでしょうか?
Answer____05_____
留萌のまちや住民に利益になり、参加者が健康などの恩恵を受けられ、科学的にもしっかりした研究を選びます。それはNPO法人「るもいコホートピア」の内部審査委員会(IRB)が行う重要な仕事です。
医学研究は住民を対象にする人体実験ではないのですか?
Answer____06_____
研究対象となる人を危険にさらしてでも医学研究を優先するならば、それは「人体実験」といえます。しかし、留萌コホートピアでは研究対象者に健康上の不利益が生じる可能性のある研究は決して行いません。あくまでも、研究対象者が頻繁な健康チェックや健康に関する指導を受け、健康にいい食品などをとれることにより利益を享受できるような研究しかNPO法人「るもいコホートピア」は認可いたしません。医薬品の治験においても、安全性をテストするための第Ⅰ相、第Ⅱ相試験は行わず、すでに厚生労働省が安全性を認め、製造販売がおこなわれている薬について、疾病の予防効果などの適応拡大の可能性をテストするような治験のみを行います。NPO法人「るもいコホートピア」は住民の利益を代表する機関であり、住民の利益とならない研究は、NPO内部に設置される内部監査機関にて厳しくチェックされ、拒絶されます。
こうした医学研究に参加するかどうかは自由なのですか?
Answer____07_____
もちろん自由です。参加する人は、参加による何らかの恩恵を受けることができます。しかし、参加しないからといって、なんら不利益を受けることはありません。住民は、医学研究の内容によって、自分で参加したり、参加しなかったりする自由があり、一度参加してもいつでも自由にやめることも可能です。そして、その後の拘束を受けることも一切ありません。
医学研究の対象となる候補者はどのように選ばれますか?
Answer____08_____
住民の皆さんの許可をいただき、特定健診のデータは、コホートのベースラインデータとして登録保存されます。候補者になることの承諾を事前に得て、研究の内容により、適切な候補者をそのデータに基づいてランダムに選び、候補者の承諾を得て、その研究の対象者として正式に選ばれる一連の過程を行います。対象者が足りない場合は、他の候補者をまた、ランダムに抽出する過程を行います。
NPO法人「るもいコホートピア」の資金計画について教えてください?
Answer____09_____
「るもいコホートピア」はできるだけお金をかけないような活動をしていきます。健康教室などの活動を行う場合でも、基本的にボランティアによる運営をしますし、実費は「受益者負担」の原則で徴収を行います。臨床研究は、その研究を行う研究者や企業が費用や「るもいコホートピア」への契約金、試験参加者への謝礼などを支出するので、「るもいコホートピア」には基本的に赤字は発生しない仕組みです。当初は研究を行いたいという企業や研究者は少ないかもしれませんが、そのような場合でも、留萌市立病院との連携で、さまざまな活動を行うようにいたします。
NPO法人「るもいコホートピア」の社員と会員について教えてください。
Answer____10_____
後存知のようにNPO法人を設立するためには10名以上の議決権を持つ社員が必要です。これは、推進機構の委員のほか、主として留萌市在住の方々にて構成する予定です。 また、「るもいコホートピア」は恒常的な資金を得るため、「るもいコホートピア」の事業趣旨に賛同いただける会員(議決権を持たない賛助会員)を募集します。留萌市および参加留萌支庁自治体(以下、圏内)の個人または法人(自治体を含む)、圏外の個人または法人です。
法人会員はどのような会社を想定していますか?
Answer____11_____
圏内の法人会員としては、漁協、農協、食品加工業、病院、自治体、NPO法人などの団体を想定しています。圏外の法人会員としては、食品製造業者(特に健康食品)、製薬会社、臨床検査機器会社、受託臨床試験機関(CRO)、試験実施機構管理機関(CMO)、バイオ・ベンチャー企業などの企業およびその協会(製薬協、日本CRO協会)、ならびに大学・研究機関などを想定しています。こうした会員になることにより、「るもいコホートピア」が整備する医学研究のオープンフィールドを用いた臨床試験・臨床研究を行う資格を得ることができます。
NPO法人「るもいコホートピア」はどのような活動を目指すのですか?
Answer____12_____
「るもいコホートピア」は、住民の皆様のご理解のもと、以下のような優先順序での活動を目指しています。
優先度1: 留萌市立病院の経営を黒字化するために、医師を確保し、病院を活性化すること
優先度2: 特定健診の受診率を上げるための講演会などの活動をすること
優先度3: 特定健診のデータをコホートのベースラインデータとして収集すること
優先度4: ベースラインデータをもとに、住民の方々の健康に役立つ事業を行うこと
優先度4: 大学や研究機関の医学研究者と契約し、医学研究を行うこと
優先度5: 企業と契約し、医学研究を行うこと
優先度6: 市民の財産としての血液サンプルなどを保存すること
優先度7: 地域経済を活性化するためのその他の活動を行うこと
NPO法人「るもいコホートピア」の収益はどのように使用されますか?
Answer____13_____
NPO法人は研究を誘致し、協力することにより収入を得ますが、その収入からNPO法人の運営のための諸費用を除いた収益はすべて、住民の健康や福祉のために使用されます。例えば、市民が使用する歩数計などの健康器具を購入・貸与したり、保健師さんたちが街を巡回するための自動車を買ったりです。その使途は、NPO法人「るもいコホートピア」だけでなく、研究に参加してくれた住民の方々の意見が反映される形で決められます。これにより、研究に参加した人々が、「私は地域に貢献している」という実感が得られるからです。この「誰かの為になっている」という気持が地域力再生にとても重要だと考えられます。「遠い未来の医学のために貢献する」ということよりも、「明日の地域のための貢献」のほうがわかりやすいのです。
「脳をまもるコホートピア」というテーマを設けているのはなぜですか??
Answer____14_____
65歳以上の要介護の原因の約半数は脳疾患です(平成13年国民生活基礎調査の統計では脳血管疾患が26.1%、認知症が11.2&、パーキンソン病が8.2%です)。留萌地方は食塩摂取が多く、高血圧をはじめとする生活習慣病が多く、特に脳卒中が起こりやすい地域だと思われます。従って、健康寿命を享受するためには脳卒中や認知症を予防し、適切な治療を行い、リハビリにてできるだけ自立できるようにすることが重要です。そのため、特に「脳をまもる」ことを最重要テーマにいたしました。
「脳をまもる」活動はどのようなことをするのですか?
Answer____15_____
以下のような活動を行います。
1) 脳神経外科医、神経内科医、循環器内科医が留萌市立病院に来るように活動を行います。
2) 「脳をまもる外来」を行い、脳卒中や認知症を予防するための治療などを行います。
3) 特定健診と連動して、脳卒中や認知症を予防するための指導・教室などを行います。その他、活動としては次のようなことを活動として行う予定です。
4) 脳卒中に万が一なってしまったときの、かかりつけ医(家庭医)との連絡、救急車を呼ぶときや、待つ間にすべきことなどのマニュアル(パンフレット)を作り、市民の方々に配布すること。
5) 脳卒中や認知症予防のための「健康DIY」のパンフレット集を作り、市民の方々に配布すること。
6) 脳卒中や認知症患者の方と暮らすための支援マニュアルを作成し、市民の方々に配布すること。さらに、特定健診を受けていただき、どうしたら脳卒中や認知症を予防できるのかを指導する教室などを行います。そうした予防の努力にもかかわらず、脳卒中に万が一なってしまったらどうしたらよいのか、本人や家族の人がおろおろしないですみ、できるだけ早く適切な治療を開始するためのマニュアルなどを作り市民の方々に配布すること。
脳神経外科医、神経内科医、循環器内科医、を確保するためにどのような活動を行いますか?
Answer____16_____
以下のような活動を行う予定です。
1) 大学教官を招いた市民公開講座などを行い、大学と留萌の関係を深めます。
2) 北大、札幌医大、旭川医大の脳神経外科学、神経内科学教室、精神神経科学教室、と共同の臨床研究を行うことにより、脳神経外科医、神経内科医、精神神経科医、を派遣する理由をつくります。
3) 地域医療を学ぶ環境を作り、専門医としての研修ばかりではないプラスアルファの研修体制をつくります
研究に参加した個人は健康に関してどのような恩恵を受けられるのでしょうか?
Answer____17_____
食品などの臨床試験の研究中の健診など医療行為の自己負担分は、「るもいコホートピア」が負担します。また、些少ながら、交通費と謝礼が出ます。医学研究を大学研究者がNPO法人「るもいコホートピア」と契約する条件の1つに、「研究対象者が研究に関係あるなしにかかわらず、重篤な疾患に罹患した場合、最高の医療を受けられるように、大学のネットワークを利用して優先的に治療または紹介を行うこととする」を加える予定です。
萌明荘はどうするのですか?
Answer____18_____
道から無償で市が借り上げるもしくは譲渡を受ける可能性が検討されています。健康づくりの拠点施設「健康の駅るもい」とともに人材育成・市民教育の場「萌命塾」を作りたいと考えています。そこは、老若男女年齢を問わず気軽に訪れる場所として、以下のような活動を目指します。
1)特定健診・特定指導の実施
2)家庭医など医師が1名以上常駐し、診療および健康相談、紹介業務
3)コホートピアの事業を紹介する広報活動
4)健康教室、運動教室、食育・食事指導教室など、学びの場としての「萌命塾」を作ること
5)臨床研究の受託・計画・実行
6)すべての医療者が集まる医療連携カンファランス
留萌市立病院と市中の開業医の先生方との関係は?
Answer____19_____
コホートピア事業は市立病院の赤字解消のため、医師の確保などの活動を行います。こうした活動により市立病院が活性化することになります。しかし、これは、必ずしも市中の開業医の先生から患者を奪うことにはなりません。留萌市立病院が総合病院としての機能を完全に回復すれば、これまで、留萌市外の病院に受診していた患者さんたちが留萌市に戻ってきます。コホートピア事業では、真の意味の医療連携を図っていく活動を最重要視していますので、市立病院と開業医のみなさんがウィンウィンの関係になると考えられます。留萌コホートピアでは、市民のための医療をめざし、理想的な連携を実現するために努力を惜しみません。
人材育成のためにはどのような活動を行うのでしょうか?
Answer____20_____
医師に限らず、すべての医療職の人材を育成するため、「萌命塾(健康の駅るもい)」を中心として、医療連携をオーガナイズする活動を行います。これにより、家庭医が中心となり、すべての医療職が、その活動をレベルアップすること、また、ボランティアとして参加する医療職を目指す若者たちが、実体験の中でそうした連携活動を学ぶ場を作っていきます。
市立病院は赤字ですがだいじょうぶですか?
Answer____21_____
赤字であるからこそ、留萌コホートピア構想を行う意義があるのです。市立病院の経営を安定化させることがコホートピアの第一の任務であり、そのために医師を確保します。医師の確保は、地域住民の安心として現れ、地域のひとびとが、専門医を求めて、圏外へ遠出しなくてすむようになります。それにより、市立病院の経営が好転することと、国保財源などの他自治体への流出を阻止することにもつながります。
留萌の産業振興にどのように役立つのですか?
Answer____22_____
留萌の産業は基本的に一次産業であり、その産品である農産物、水産物、および水産加工品のブランドアップが重要です。そのためには、留萌コホートピアで実現する臨床試験環境を最大限利用して、そうした産品の健康機能効果を医学的に実証し、それを宣伝して高付加価値化をめざします。
留萌の地域コミュニティの再構築にどのように役立つのですか?
Answer____23_____
どこの地域でもそうですが、現代は、核家族化、高齢化により地域の住民のコミュニケーションや連帯が希薄化しています。留萌コホートピアでは、「萌命塾(健康の駅るもい)」へ集まる市民が、それぞれの町においてコミュニティを再構築できるような各種の「しかけ」を行っていきたいと考えています。高齢者が「誰かがわたしを待ってくれている」と感じられるようなボランティア運動の展開です。